症例28 智歯(親知らず)その1
Case①
32歳男性です。
左下が時々痛むということで来院されました。
青矢印の部分は智歯(第三大臼歯。いわゆる親知らず)が斜めに萌出しており、歯ブラシがしづらい状況となっていました。
一つ手前の歯(第二大臼歯)の赤丸の部分に、虫歯ができてしまっています。(黒っぽくなってる部分)
この虫歯は、親知らずの存在が一因となっていますし、親知らずを抜歯しないと、器具が入らないため、手前の歯の虫歯治療も難しい状況です。
治療前の治療後のレントゲンの比較です。
親知らずを抜歯後に第二大臼歯の虫歯治療を行いました。
第二大臼歯は、虫歯の進行度としては、C2(象牙質う蝕)であり、歯髄を温存することができると判断し、コンポジットレジンという材料で充填処置(虫歯を除去し、窩洞を形成後、直接、材料で埋める処置)を行いました。
治療後の赤丸部分に、白い材料が埋めてあることが確認できると思います。
第二大臼歯の奥側をデンタルミラーを用いて見たところです。
抜歯後約2週間後、親知らずを抜いた部分の歯茎がまだ治癒していない様子が見て取れます。
歯肉が完全に成熟する前にコンポジットレジンによる重点処置を行いました。
青矢印の部分に充填を行っていますが、どこに埋めてあるのかわからないと思います。
一番奥の歯の奥側で、しかも歯肉に被さった部分の処置なので、歯肉からわずかな出血もさせないように配慮しながら、マイクロスコープを用いて治療を行いました。
幸い、歯髄は温存することができましたが、あと少し、来院が遅くなっていたらもっと大変なことになってしまうところでした。
続いて、同じような虫歯が、もっと進行してしまったケースです。
Case②
38歳男性。
右下がズキズキするということで来院されました。
先ほどのケースと同様に、智歯が斜めに埋まっており、手前の第二大臼歯の虫歯(赤丸部分)に食い込むような形を呈しています。
第二大臼歯の虫歯はC3(歯髄にまで達した虫歯)であり、歯髄組織の感染を認めたため、智歯の抜歯と併行して、第二大臼歯の根管治療を行うこととしました。
治療後の状態です。
先ほどのケースと異なり、歯髄組織、および歯冠部歯質の大部分を虫歯によって失ってしまったため、メタルクラウンによる歯冠修復治療を行なっております。
症状は治癒しておりますが、失活歯(歯髄を失った歯)は生活歯(健康な歯髄を有する歯)に比較して、将来的に歯根破折などのトラブルが起きやすいと言われています。
親知らずは移植や矯正を絡めたら治療の選択肢が増える可能性があり、条件によってはとても有効な活用方法があります。
一方で、残しておくことで、今回の症例のように、虫歯の原因となってしまうことがあります。
親知らずの功罪については解説すると長くなるため、別の機会にまた触れてみたいとおもいます。
いずれにしろ、痛みがある状態を放置することは、問題の先延ばしになってしまい、歯の寿命が短くなってしまう可能性があります。
早めにご連絡くださいね。
福山市 御門町 の 歯医者 やまもと歯科
ケース①の詳細
主訴 :左下が時々痛む
診断名:左下智歯周囲炎、左下第二大臼歯C2
年齢・性別:32歳・男性
治療期間・回数:約1ヶ月・3回
治療方法:歯ブラシ指導や歯石とりなどの歯周基本治療後、左下智歯抜歯を行い、左下第二大臼歯遠心面のう蝕に対しコンポジットレジン修復を行った
費用:2550円(保険診療範囲内 3割負担の場合)
デメリット・リスク:
智歯の抜歯は外科処置を伴うため、手術後、まれに唇、舌、頬、歯肉そして歯牙の感覚マヒが一時的または長期的に発生する場合があります。 また、近接歯、顎に対する炎症、疼痛、過敏症、組織治癒の遅延及び顔面部の内出血(紫斑や黄斑など)が起こる場合もございます。 術後、3~4日目になると腫れ止めが切れるため傷口が腫れてきますが、殆どの場合、1週間程度で傷口は治ります。
・術中に、歯や骨の状態により手術内容が予定より変更することも起こりえます。
・喫煙、飲酒は正常な治療の妨げとなります。抜歯後術後1週間は控えてください。
・処方された薬剤の服用により吐き気、めまい、眠気、咳、お腹が緩くなるなど一時的な副作用が現れることがあります。
・治療後の長期安定性は、口腔衛生状態、喫煙の有無、喫煙者の協力度、咬合力、咬み合わせ、骨量、歯肉量、歯磨きの状態等により変化します。
ケース②の詳細
主訴 :右下がズキズキする
診断名:右下智歯周囲炎、右下第二大臼歯C3
年齢・性別:38歳・男性
治療期間・回数:約2ヶ月・6回
治療方法:歯ブラシ指導や歯石とりなどの歯周基本治療後、右下智歯抜歯を行った、右下第二大臼歯に根管治療後、メタルクラウンにて歯冠修復を行った。
費用:10,730円(保険診療範囲内 3割負担の場合)
デメリット・リスク:
智歯の抜歯は外科処置を伴うため、手術後、まれに唇、舌、頬、歯肉そして歯牙の感覚マヒが一時的または長期的に発生する場合があります。 また、近接歯、顎に対する炎症、疼痛、過敏症、組織治癒の遅延及び顔面部の内出血(紫斑や黄斑など)が起こる場合もございます。 術後、3~4日目になると腫れ止めが切れるため傷口が腫れてきますが、殆どの場合、1週間程度で傷口は治ります。
・術中に、歯や骨の状態により手術内容が予定より変更することも起こりえます。
・喫煙、飲酒は正常な治療の妨げとなります。抜歯後術後1週間は控えてください。
・処方された薬剤の服用により吐き気、めまい、眠気、咳、お腹が緩くなるなど一時的な副作用が現れることがあります。
・治療後の長期安定性は、口腔衛生状態、喫煙の有無、喫煙者の協力度、咬合力、咬み合わせ、骨量、歯肉量、歯磨きの状態等により変化します。
根管治療により、術中、術後に痛みや違和感が出現する場合があります。
根管の形態が複雑な場合や歯根破折が認められる場合は病態が治癒しない場合があります。
通常の根管治療において奏功しない場合、外科的処置や抜歯が必要になる可能性があります。
失活歯は経年的に歯根破折が起き抜歯が必要となる可能性があります。