Open
8:00-12:00 / 12:30-17:45
Close
水曜・日曜・祝日
今回は感染根管治療治療について報告します。
37歳男性 左下の奥歯が3日前からズキズキ痛い、という主訴で来院されました。
根管治療の目的は、抜髄根管では根尖病変を作らず、感染根管では根尖病変を治し、歯の延命効果を図るということに尽きます。
そのための原則は、診断に基づいた根管内の徹底的な拡大清掃と消毒、根尖部での緊密な封鎖にあると思います。
今回は根尖性歯周炎(歯髄が感染し、細菌が産生した毒素や細菌自体が根尖孔から歯周組織へ出ることで、歯周組織に炎症が起きた状態)に対して、CTおよびマイクロスコープを有効活用して起炎因子を除去したケースについて報告します。
初診時のレントゲン写真です。
左下第二大臼歯(奥から2番目の歯)の根尖部に大きな透過像(黒い像)を認めます。
来院時の痛みが非常に強かったため、確実に効率よく痛みを落ち着かせる必要があったため、
病変の広がりおよび根管の形態を確認する目的でCT撮影を行いました。
原因歯は近心根(手前の歯根)と遠心根(奥の歯根)の2つの根を有しています。
遠心根の周囲に大きな透過像を認めたため、痛みの原因は遠心根にあると憶測を立て処置に入りました。
遠心根(赤い線の部分の歯根)について詳しく述べてみます。
遠心根はCT画像から、根管の形態が図で示すタイプⅦを呈していることがわかりました。
(例えば人それぞれ腕の皮膚の下の血管の走行が異なるように、根管の形態にも個人差があります。
形態は様々なバリエーションがあり、主に図の8つのタイプに分けられます。)
初診時の処置で急性症状は落ち着きましたが、2回目来院時、根管からの排膿が微妙に残っていたため、
赤矢印の部分に起炎因子が残存している可能性が高いと判断しました。
そこで赤丸で囲った部分を除去することで
根管形態を図のようにタイプⅤに変更し起炎因子の除去を徹底的に行うこととしました。
マイクロスコープの画像です。
マイクロスコープで拡大しながら青矢印の部分の歯質を慎重に除去します。
歯質を選択的に除去し、根尖まで視認できる状態となりました。
その後、根尖からの排膿がなくなり、根管充填ができる状態となったため、
MTAセメントおよびガッタパーチャを用いて根管充填を行いました。
治療後、根尖部の透過像は縮小傾向にあると判断しています。
痛みな腫れなどの症状は全くなく、推移しています。
CT画像においても、根尖部の透過像は縮小傾向にあり、歯槽骨が再生してきている様子がうかがえます。
(青い◯で囲った部分)
日本では気軽に安価で保険診療で根管治療が受診できますが、そのレベルは欧米に比べ非常に低いものです。
また治療内容の詳細などの情報は歯科医院において閉鎖されていることが多く、
患者さんへは伝わっていない場合が多いです。
そして何年か後に高い確率で再発し、再根管治療を繰り返し、いずれ歯を失っていきます。
1本の歯に行える治療回数は有限であるからです。
本ケースは全て自由診療ですが
当院は保険診療も行なっております。
また、できる限りベストを尽くすため、
保険診療、自由診療問わず、必要であればCT、ラバーダム防湿、マイクロスコープを用いて根管治療に当たります。
お悩みの方はご相談だけでもどうぞ。
福山市御門町の歯医者 やまもと歯科